Vol.31 「Surprise is delicious! 」
2014/08/08
最近洋酒が美味しい。正しく言うと洋酒の奥深さに驚かされている。
洋酒と言えば子どものころはサバランが苦手で、お酒味のブリオッシュは舌触りと匂いを嗅ぐ度に
「これ、本当にケーキなの?!」
と思うほどだった。甘さとお酒の組み合わせに驚いた瞬間だったかもしれない。
しかし大人になりお酒を嗜むことで洋酒は、スイーツ好きの舌をどんどん楽しくしてくれた。それを感じたのが巣鴨の地蔵通り商店街に4月にオープンしたパン・洋菓子専門店の老舗タカセで食べた<ラムレーズン>である。
タカセのパンは生地が柔らかく舌触りも滑らかで飽きのこない素朴な味わいが特徴だ。
自家製のあんを使った商品も多く意外にもコーヒーとよく合う。(あんみつドーナツは求肥が入りまさにあんみつ!)
その中で<ラムレーズン>のインパクトと言ったらすごい。真ん中から割るとレーズンがこぼれおちるほど包まれ、噛み締めると洋酒の香りとザラメの「ザクッザクッ」という豪快な音が口の中で響く。パンの優しい柔らかさとは反対に濃い洋酒に漬かった大量のレーズンは目が覚めるほどで
「これ、本当にパンなの?!」
と、またしても洋酒にノックアウトさせられてしまった。
スイーツに並ぶくらいパン好きであったがこれはパンの域を超える。
むんむんする程濃い洋酒と懐かしい歯ざわりのザラメ。
新しいような懐かしいような不思議な味わい。出会って、即虜になった。
昼間からお酒を飲んだ気分にもなれてまさに一石二鳥ものだ。
喫茶室で食べ、あまりにヒットしたので持ち帰りもしてしまったくらいだ。
レーズン好きに是非おすすめしたい逸品である。美味しさは日常のささやかな驚きから生まれるものかもしれない。
きっとそうにちがいない。
(SC000590 ベリーショート)