Vol.21 美味しいスイーツの仕上げ
2014/01/07
「美味しい!」幸せの瞬間。
久々のゆったりとした休日、母とランチに出かけた。
食事はもちろんだけど、一番のお楽しみは食後のデザート。
ケースに並べられたデザートの中で、ひときわ目立つものがあった。
それは真っ赤なリンゴ。まるまる一つだ。焼きリンゴにしてもらえるらしい。
私はそれを選んだ。
食後に来た焼きリンゴの表面は、焼かれても真っ赤さを保っていた。
口に入れると、温かくて、甘酸っぱいリンゴの味が口に広がった。
「美味しい!」
私の言葉につられて母も一つ口に入れる。
「ほんと!美味しい。昔はうちでも作ったね。こんなに赤さは残らなかったけど。」
母は一時、冬になると焼きリンゴを作ってくれていた。
「そうだったね。でも美味しかったよ、あれ。」
そんな昔話に花が咲き、焼きリンゴはあっという間になくなってしまった。
でも、私たちには幸せな気持ちが残っていた。
美味しいスイーツの仕上げは、食べる人の「美味しい」の一言なのかもしれない。
(SC000348 鈴木佳奈子)