【レポート】地元農産物を使った創作和菓子が登場―~秋田市「スイーツフェスタ2018」を満喫!~
2018/10/31
心地よい秋晴れの9月下旬。秋田市内外の和洋菓子が集まる「スイーツフェスタ2018」に行ってきました。
会場は秋田市卸町にある「秋田まるごと市場」2階で、入り口では近年注目を集めている秋田市特産のダリアがお出迎えしてくれました。
初日はなんと、製菓店約30社による4000個もの和洋菓子が集結。
会場にはお気に入りを探す若い女性やケーキを美味しそうに頬張る子どもの姿が見られ、お昼前から賑わっていました。
飴細工の実演コーナーでは、自由自在に形を変えるバラの花びらに人が集まり、完成した作品を前にスマホで撮影する人も多く見られました。その隣ではケーキのデコレーション作業が行われ、色鮮やかな秋田市産ブルーベリーが次々とケーキに飾られ、バーナーの炎がメレンゲの表面を焦がすシーンでは驚きや感嘆の声が上がりました。
昨年に続くこのイベントは、秋田県菓子工業組合秋田支部の主催で、秋田市「農家のパーティ※」関連事業としての開催でした。実行委員会長の株式会社菓子舗「榮太楼」代表取締役小国輝也社長より、地元農産物を使ったおすすめスイーツを2種類うかがいました。
ひとつめは、ピンク色の生地を流し込んで作る「あん巻き(1個180円)」。
リンゴ(紅玉)の白餡をくるっと巻いて上部にリンゴのコンポートをあしらった愛らしい形。さくら餅を思わせるもちっとした食感で、ほんのりとした甘酸っぱさがこれまでにない新しい味わいです。
もうひとつはブドウ1粒を丸ごと求肥で包んだ「シャインマスカット大福(1個200円)」。
こちらも旬の味覚が楽しめる和菓子で、うっすら緑が映えるのは半包みの所以。ブドウそのものを味わって欲しいとの思いで作られた、小ぶりかつ繊細な味わいで、一口で食べ切る贅沢感が印象的でした。。
これらを手がけた後藤誠一さんは秋田市中通にある老舗和菓子店「三松堂」4代目店主で90余年の伝統を受け継いでいます。この日は和菓子屋の命ともいえるあんこを4升(約6kg)用意。木型から取り出した小粒の餅にたっぷりあんこを合わせた「しんこ餅(300g450円)」はさらりとした口当たり。地元の素材が活かされていて、上品かつ素朴。初めてなのに懐かしい味。一瞬にして美味しさに惹かれる、これぞ職人技です。
それでも「ばあさんの作るおはぎには敵わない」と後藤さんは言います。「職人はきれいなものを出すが、ばあさんは気持ちで出す。小豆を煮て作り彼岸に持たされた、あの味は自分には出せない―」。
“何度も食べた懐かしいあの味”というのは、私たち日本人が生まれ育ちながら培われると実感できました。
来て、見て、味わう楽しみと、たくさんの笑顔にあふれた「スイーツフェスタ2018」。次はどんな素晴らしいお菓子で秋田の街が盛り上がるのか、期待が高まります。
※「農家のパーティ」は「秋田市の農業を元気にするアイデアを、どんどん実行していくプロジェクト」です。公式ホームページURL:http://farmers-party.jp
文・写真/フードクリエーター noriko